サーフィン中の雷は即退避! 海レジャーで必須の落雷対処法と落雷事例

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サーフィン中の雷は即退避! 海レジャーで必須の落雷対処法と落雷事例

2023年6月10日、韓国のビーチで、落雷によりサーファーら6人が雷に打たれ死傷する事故が起きました。

『雷が鳴ったらすぐに(海から)上がれ』と初心者の頃に教えてもらったものですが、当時は海での雷の怖さを知りませんでした。雷雨の時は『サーファーがいなくてラッキー』とも思っていましたね…

調べてみると、国内外でサーファーが落雷により死傷した事例はいくつもあるようです。

サーフィンをはじめ海水浴や釣りなど、海レジャーのハイシーズンは雷雲が発生しやすい天候でもあるため、落雷を避けるための知識は必須です。

雷から身を守るために

海に入る前はいい天気だったのに、雲行きが怪しくなってきた…そんな時、実はすでに「注意報」や「警報」が出ているのかもしれません。

雷が鳴っているような音が聞こえたら、雷雲がすぐそばに近づいている可能性が。空を見渡して『雷雲や雷光を見つけた』『黒い雲が近づいている』と分かったらすぐに安全な場所へ避難することが、雷から身を守るために重要です。

雷に遭遇したら「すぐ海から上がって安全な空間へ避難」

雷は、雷雲の位置次第で、海面、平野、山岳など ところを選ばずに落ちます

近くに高いものがあると、これを通って落ちる傾向があります。

グランドやゴルフ場、屋外プール、堤防や砂浜、海上などの開けた場所や、山頂や尾根などの高いところなどでは、人に落雷しやすくなるので、できるだけ早く安全な空間に避難して下さい。

引用:気象庁

まさにサーファーのいる海上や砂浜は、周囲に高いものが無いため落雷の標的になります。すぐに海から上がりましょう

砂浜で待機するのは危険なので、車の中や鉄筋コンクリートの建物など安全な空間に避難するように。

サーファーが避難すべき安全な空間
鉄筋コンクリート建築、自動車(オープンカーは不可)は比較的安全。
 →自動車に落雷しても電気は車体を通じて地面に逃げる
木造建築の内部も基本的に安全
 →全ての電気器具、天井・壁から1m以上離れれば更に安全

もし周囲に安全な空間が無い場合、できるだけ低い姿勢で雷をやり過ごすしかありません。

雷の音が聞こえたら落雷する範囲にいる

雷が発生する積乱雲の大きさは10キロメートルほどなので、7キロメートルほど離れていても安心はできません。多くの場合、雷の音が聞こえるのは10キロメートル以内です。

ですから、雷の音が聞こえたら自分のいる場所は危ないと考えましょう。そして、安全な建物へ避難しましょう。

引用:気象庁 雷の正体

「まだ遠くで聞こえるし…」なんて言っている場合ではありません。雷鳴が聞こえたということは、すでにあなたは積乱雲の真下、すでに落雷する範囲にいる可能性が高いのです。すぐに避難しましょう。

雷で避難してはいけない場所

サーフィンや海水浴では、海岸付近に『防砂林』という松などで作られた林がありますが、雨宿り感覚で林や森の中に避難していけません

林や森の中は木への落雷による『側撃雷』による事故の危険性があるからです。屋外に安全な場所はありません。

近くに安全な空間が無く、やむを得ず屋外で雷をやり過ごす場合は次を参考にしてください。

 近くに安全な空間が無い場合は、電柱、煙突、鉄塔、建築物などの高い物体のてっぺんを45度以上の角度で見上げる範囲で、その物体から4m以上離れたところ(保護範囲)に退避します。

高い木の近くは危険ですから、最低でも木の全ての幹、枝、葉から2m以上は離れてください。姿勢を低くして、持ち物は体より高く突き出さないようにします。

雷の活動が止み、20分以上経過してから安全な空間へ移動します。

引用:気象庁 雷から身を守るには
出典:気象庁 雷から身を守るには

実際にあった「サーファーに落雷」の事例

周囲に高いものが無い海上では、サーファーが雷の標的になります。直撃の場合は感電死、もしくは直撃でなくても周囲の人含め感電によるショックで気絶し溺死してしまう可能性が高いのです。

1987年 高知県東洋町の生見海岸
早朝から激しい雨の中50〜60人がサーフィンをしていたが、雷鳴が聞こえたため20人ほど海から上がった。残りはサーフィンを続けていたが、その後サーファーに落雷、20人ほどが気を失い海に浮かぶ。救助されたが、6人が死亡 7人が重軽症を負った。
このとき雷の直撃を受けたのは1人で死因は感電死、付近にいた5人は気絶して溺死したと伝えられている。 (参考:ウェザーニュースより)
2005年 福岡県志摩町の野北海岸
サーフィン大会が悪天候で中止された日の夕方、海岸から約20m沖合に落雷。雷鳴の中、まだ海上にいたサーファー5人の内、1人が入院先病院で18日後に死亡、他4人が負傷。負傷者の1人は、体がしびれて大量の海水を飲み、おぼれて重傷。他の3人は体がひりひりする程度のしびれ症状の軽傷。(1987年高知県で発生した事故とほぼ同じ状況。)
(参考:あおば屋 主な落雷事故(人身)リストより)
2021年 エルサルバドル 南西部エルトゥンコビーチ
『エルサルバドル代表の女性サーフィン選手カテリーネ・ディアスが落雷で死亡』
空は晴れていて雷が鳴るような兆候もなかったが、天候が急変、カテリーネは落雷の直撃を受けた。
救急隊がすぐに駆けつけたものの、残念ながら助からず…。
カテリーネはエルサルバドルのサーフィン連盟の会長の娘でまだ22歳。カテリーネはエルサルバドルのウィメンズサーファーのパイオニアになる人物だっただけに本当に残念でならない。
(参考:THE SURF NEWSより)
2023年 オーストラリア 東部ニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州のビーチ
サーフィンをしていた少年(10歳)が落雷の直撃を受け意識不明の重体となる事故があった。心肺停止状態だったが、ライフガードの敏速な救助と心肺蘇生、たまたま現場にいた医師も救命措置参加により一命を取りとめたが落雷で胸部に重度な火傷を負った。
(参考:日豪プレスより)
2023年 韓国 襄陽(ヤンヤン)郡にあるビーチ
韓国カンウォンド(江原道)ヤンヤン(襄陽)郡の海辺で、雷が体に直撃して倒れた30代の男性が死亡した。
「海辺に雷が直撃して数人が倒れている」という通報を受けて出動した消防当局は、雷が体に直撃して沖に流される人々を救助したと明らかにした。
警察は重傷者を含む負傷者5人がサーフィンを終えて海辺に座っているところ、20代の軽傷者1人は傘を差して歩いていたところ事故に遭ったものと把握している。
(参考:niftyニュースより)

海に落雷し気絶、溺死するケースもある

先ほどの「サーファーに落雷」の事例にもありましたが、「落雷の直撃」が直接の死因となるだけではありません。

感電することで気絶し溺死に至ることもある

雷が水中や湿った砂を通じて拡散、周囲の人も感電しそのショックで気絶。海にいて気絶した場合は溺死する可能性があります。

落雷の地点から何m離れていると安全か危険かということは、状況や環境により変わりますし、事例が少ないためはっきりしていません。とにかく直撃以外にも感電することで死に至る場合があると知る必要があります。

雷鳴を聞いて海から上がった人、海に残ってサーフィンを続けた人。両者の判断の違いが生死を分けているのは明白です。急な天候の変化で落雷の可能性もあるため、晴れていても空の様子は注視し迅速な避難が出来るようにしましょう。

海中に潜っている場合は感電しない

電気は物体の表面を拡散する性質があるため、海に落ちた雷は海面を拡散します。つまり水中への影響はあまりないということ。ただし、水中といえど海面付近は感電のリスクが高いと言われています。

海面に浮かんでいるサーファーが雷を察知して影響のない海中に潜るなんて不可能ですし、そもそも海中で行うダイビングが落雷の影響を受けにくいとはいえ、船の落雷被害や急な天候の悪化により海が荒れてくることを考えると避難することが最優先と言えます。

雷を予測し落雷の遭遇を回避する

天気予報で「大気の状態が不安定」「雷を伴う」といった言葉が出たら雷が発生する可能性があります。少しでも天候が荒れる予報がある場合や、雷の心配があるなら事前に『予報・警報』を活用しリスク回避しましょう。

Yahoo!防災速報

出典:Yahoo!防災

全国の多くの自治体が協定し採用しているヤフーの防災アプリ。

2017年より実装された新機能「雷レーダー」により、ユーザーは地図上で最大1時間先までの落雷の可能性やその激しさについて、4段階(可能性 あり、可能性 高、やや激しい、激しい)の色の濃度で確認できます。また、直前10分間に発生した雷を最大1時間前まで遡って地図上で確認することもできます。

外出先でもアプリの通知で危険を知る有効な手段であり、緊急地震速報にも対応しているためケータイが格安SIMなどに乗り換えて速報に対応しなくなっている場合にも重宝します。

出典:Yahoo!ニュース

雷ナウキャスト

言わずと知れた気象庁が提供する『雷ナウキャスト』

最新の「雷ナウキャスト」

雷ナウキャストは、雷の激しさや雷の可能性を1km格子単位で解析し、その1時間後(10分~60分先)までの予測を行うもので、10分毎に更新して提供します。
雷の解析は、雷監視システムによる雷放電の検知及びレーダー観測などを基にして活動度1~4で表します。予測については、雷雲の移動方向に移動させるとともに、雷雲の盛衰の傾向も考慮しています。

出典:気象庁 雷ナウキャストとは

雷ナウキャストを利用する場合、常に最新の状況や予報を確認し、避難行動につなげることが重要です。

まとめ

海の水が気持ちのいい季節となる7月~9月は雷の発生件数が急増します。

波がいい時に海から上がる気持ちになれない方もいるかもしれませんが、生きていればこそのサーフィンであり人生を楽しむことができるのです。

決して雷を軽視せず、雷鳴や雷光に気づいたらすぐに退避しましょう。